AR.Drone 2.0ユーザーは、マルチチャージャー(バランス充電器)を導入すべき。
先日、「AR.Drone 2.0のバッテリーを高性能なリポバッテリーに換えれば、たった12分で満充電できますよ。」という趣旨のブログを3本ほど書きました。
リポバッテリーにつきましては、記事にも書きましたがコネクターの問題など、ちょっと手を出しにくい人もいるかと。で、今日は、そのバッテリーを充電するチャージャー(充電器)についてです。
ラジコン(以下、RCと省略)をしている人は、マルチチャージャーと呼ばれる、ちょっと大きな充電器を持っていたりします。高級なやつは数万円するんですけど、安いやつは数千円で買えます。たとえば、私が使っているのは、あまり評判の良くない(理由は後述)、iMax B6
というバランス充電器です。
バランス充電器のバランスというのは、AR.Drone 2.0のバッテリーは1個あたり3.7Vの3個のセルを直列につないで11.1Vのバッテリーにしてあるのですが、その一つ一つのセルの電圧のバランスを取りながら充電してくれる、という意味です。もちろん、AR.Drone 2.0の純正充電器 (クレードル仕様)
も、わざわざ謳ってはいませんが、バランス充電器です。
AR.Drone 2.0には、専用のコンパクトな純正充電器 (クレードル仕様)
が付属しているのに、なぜわざわざ数千円も出して、かさばるマルチチャージャーを買うのか? 理由はいくつかあります。
- リポバッテリーの長期保管に最適な、「ストレージモード」で充電できる。
- 夏季のリポバッテリーの過充電防止に役立つ、90%充電ができる。
- 急速充電モードを使えば、30分ほどで充電できる。
- 純正充電器では1Cチャージ(満充電まで90分必要)しかできないが、マルチチャージャーなら5Cチャージ(12分で充電完了)できる。
箇条書きでいくつか並べてみました。もちろん、他にもありますけどね。では、1つ1つ、詳細に見ていきましょう。
【1. リポバッテリーの長期保管に最適な、「ストレージモード」で充電できる。】
リポバッテリーは、満充電での保管は厳禁です。数週間、満充電状態で放っておくと、運が悪ければリポは膨らみ、使用不能になってしまいます。最悪の場合は、発火します。運が良くても、充電容量が数十%減少し、性能が大幅に劣化します。
また、カラの状態でリポバッテリーを放置してもダメです。これも数週間でリポが膨らんで、使用不能になるでしょう。
では、どういう状態で保管するのが良いか? 高性能で長寿命なリポバッテリーのメーカー ハイペリオンは、「終端容量を60%〜70%(セル電圧が3.78V〜3.92V)が保管に最適な状態」と書いています。
AR.Drone 2.0の純正充電器 (クレードル仕様) は、この保管に最適な状態に充電することができません。でも、ちょっと高機能なマルチチャージャー
なら、保管に適した「ストレージモード」で充電することができます。私の、iMax B6
にも各セルを3.8V(AR.Drone 2.0のバッテリーは3セルですから、計11.4V)に充電(あるいは、バッテリーの電圧が高い時は、放電)してくる機能が付いています。
【2. 夏季のリポバッテリーの過充電防止に役立つ、90%充電ができる。】
リポバッテリーは、その内部の化学変化で蓄電したり、放電したりします。ご存知の通り、化学変化というのは、熱によって促進されたりするわけですね。
金曜日の夜、週末AR.Droneを飛ばすために、バッテリーを満充電したとします。リポバッテリーは、満充電すると1セルあたり4.2V。4.2V×3セルで12.6Vの状態になります。
翌日、いいお天気なのでクルマにAR.Droneを積んで出かけました。強い日差し。AR.Droneもバッテリーも当然、太陽の熱で温められます。すると、バッテリー内部の化学変化が促進されて、満充電以上、つまり1セルあたり4.2Vを超える電圧になるわけです。リポは、4.22Vを超えると膨らんで壊れると言われています。
で、どうするか? 夏は満充電ではなく、90%充電すればいいわけです。少々直射日光を浴びても、90%充電(1セルあたり4.1V)であれば、安心というわけです。もちろん、リポバッテリーを炎天下に置くとか、暑い車内に放置するとかは、絶対にやってはいけないことなんですけどね。
純正チャージャーではできないけど、ちょっと高機能なバランス充電器なら、90%充電もできます。
【3. 急速充電モードを使えば、30分ほどで充電できる。】
これは、3Cチャージや5Cチャージすることではなく、AR.Drone用のバッテリーなら1A(1000mA)、つまり1Cチャージで急速充電するという意味です。
どういうことか説明しますと、バランス充電器は、1Aでせっせと充電しますが、充電終盤、各セルが4.2V(90%充電モードだと4.1V。以下、同じ。)に近づくと、それぞれのセルがちょうど4.2Vにそろうように、セルごとに細かく微電流で充電します。そのため、ほぼ満充電状態から完全に満充電状態にするまでに、すごく時間がかかるわけです。
この最後の、「細かく微電流で調整しつつ」というのを省けば、もっと早く充電が終了するわけですね。もちろん、満充電ではなく、ほぼ満充電なわけですが。そういうモードを、ちょっと高機能なバランスチャージャーは備えています。
上は、ストレージモードで保管してあったAR.Drone 2.0の純正バッテリーを、パチもんのiMax B6
で急速充電したもの。iMax B6では、Fast Chargeと言うんですけどね。
写真の通り、37分16秒でほぼ満充電(90%モード=12.3V)になっています。
この急速充電モードは、最後の「それぞれのセルがちょうど4.2Vにそろうように、セルごとに細かく微電流で充電」することを省略していますから、それぞれのセルの電圧差が気になるところですが、
Hyperion EOS SENTRY2という高性能なバッテリーチェッカーで見てみると、電圧最大のセルと最小のセルの電圧差は、わずか0.008Vで全く問題ないことが分かります。
なお、夏場ですから、今回は90%充電モード(1セルあたり4.2Vの12.6Vで充電終了ではなく、1セルあたり4.1Vの12.3Vで充電終了)にしています。
このFast Chargeモードを使えば、1C充電にしか対応していないAR.Drone 2.0の純正バッテリーも、30分強で充電完了できるわけです。
【4. 純正充電器では1Cチャージ(満充電まで90分必要)しかできないが、マルチチャージャーなら5Cチャージ(12分で充電完了)できる。】
これは、3回連続で書いた、12分で満充電にできる高性能なリポバッテリーの記事、
- AR.Drone 2.0に、5C急速充電(12分)可能な高性能リポバッテリーを投入、その3。Turnigy nano-tech 1300mah 3S 25-50C編。 13/07/16
- AR.Drone 2.0に5C急速充電(12分)可能な高性能リポバッテリーを投入、その2。Hyperion LG325-1100-3S編。 13/07/16
- AR.Drone 2.0。充電90分で飛行時間12分に耐えられず、高性能リポバッテリーを投入、その1。Hyperion LG325-1300-3S編。 13/07/16
をご覧いただくほうが手っ取り早いでしょう。逆に、上のような高性能なリポバッテリーをAR.Droneに使うのであれば、マルチチャージャーは必須ということです。
で、そのマルチチャージャーなんですけど、amazonで購入可能で、比較的安くて、そこそこ信頼性のあるものといいますと、
- セキド・パワーズジャパン パーフェクト・ネオ (AC/DC充放電器)【P-NEO】
(執筆時現在、6,596円)
- ハイテック Multi Charger X1 ACPLUS 44165
(執筆時現在、7,067円)
- iMAX B6 バランス充電器 / 放電器(専用ACアダプタ付き)
(執筆時現在、5,480円)
- iMAX B6AC バランス充電器 LiIon/LiPo/LIFe 1〜6S NiCd/NiMH 1〜15cells
(執筆時現在、4,980円)
あたりでしょうか。
ただ、私も使っておりますが、iMax B6はコピー品がほとんどで、正規の商品はなかなか見つかりません。私のもコピー品です。ヤフオクにも多数出品されておりますが、多分ほとんどがコピー品と思われます。
それから、この記事に写真を載せた私のiMax B6(上記 4.)は、内部にAC電源を内蔵したタイプです。もちろん、クルマのシガレット端子から12Vを取り出して使うことも可能ですし、安定化電源やACアダプタで使うことも可能な、AC/DC兼用タイプです。
小型のタイプで安いもの(上記 3.)は、12Vの安定化電源(カーバッテリー)やコンセントで使うには、ACアダプタが別途必要となります。小型のiMax B6をコンセントの電源(AC100V)で使いたい場合は、ACアダプタが付属しているかどうか、必ず確認してくださいね。
iMax B6を購入されるなら、そのままACにつなぐことのできる、iMAX B6AC(私の所有しているものと同じもの)の方がおすすめです。
また、初代AR.Drone用のバッテリー(11.1V-1000mAh) PF070009AAには、バランス端子が付いていますから、これらのマルチチャージャーでバランス充電が可能です。しかし、現行のAR.Drone 2.0の純正バッテリー
には、バランス端子がついていませんから、下記のような
バランス端子接続ボードを別途購入する必要もあります。
こういうことを考えると、AR.Drone用の純正バッテリーは、現行のAR.Drone 2.0の純正バッテリー(執筆時現在、4,009円)より、amazonでは500円以上安く入手できる初代AR.Drone用のバッテリー(11.1V-1000mAh) PF070009AA
(執筆時現在、3,501円)の方が、優れているような気がしますね。中身は、同じ11.1V-1000mAhですし。
もっともAR.Droneを飛ばしていると、もっと大容量を!、もっと短い充電時間を!、ということになりますから、昨日の記事でご紹介したRCでは一般的な、そして、安くて高性能なリポバッテリーに換装するのがベスト!という結論になっちゃうわけですけどね。
以上、今回はAR.Droneユーザーが、バッテリーの健康のためにも、充電時間短縮のためにも、持っていたほうが良いマルチチャージャーのお話でした。
【関連記事】
- AR.Drone 2.0ユーザーは、マルチチャージャー(バランス充電器)を購入すべき。 13/07/17
- AR.Drone 2.0に、5C急速充電(12分)可能な高性能リポバッテリーを投入、その3。Turnigy nano-tech 1300mah 3S 25-50C編。 13/07/16
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intoさん、おはようございます。
海外通販になりますけど、amazon.comから購入可能です。600円ほどです。記事中でも紹介しておきましたので、ご覧いただけると幸いです。
投稿: duke | 2013年8月18日 (日) 08時53分
御教示ねがいます。
タイトル4にて 写真のあるバッテリー充電バランス充電ボードなるものは何処で入手可能ですか?
お教え願います。
投稿: into | 2013年8月18日 (日) 06時45分